「ねぇ、…もう寝ちゃった?」

…ん…

うとうとしかけていた意識を起こして瞼を開けると、ついさっきまで他愛もない話をしていたルネの顔が至近距離にあり、一瞬硬直する。



もしかして、これは夢…?



そう考えたことを見透かしているのか、くすくす笑いながら頬を軽く指先で突かれる。

「夢じゃないよ」

「っ!!」

「ふふ…顔、真っ赤」

「だ、だって…起きたらこんな近くにルネの顔があるなんて…」

「仕方ないよ。だってボク、キミの寝顔を近くでみたかったんだもん」

そういって嬉しそうにぎゅっと抱きつかれれば、自然とその身体を抱きしめ返す。

「どうしたの」

「ん?」

「眠いって言ってたのに…」

「ん〜…今も眠いのに変わりはないんだけどね」

「うん」

「ひとつ、忘れてたことがあるんだ」

抱きしめていた腕から抜け出すように、ルネが上体を起こして起き上がる。

「忘れてたこと?」

「うん。とっても、とーっても大事なこと」

「大事…」

「そ、…わかる?」

イタズラっぽい表情で覗き込まれてしまえば、答えを言うまで逃がして貰えない事を知っている。
だからあたしもルネ同様、半身を起こして考えてみる。

大事なこと…
明日のスケジュールの確認?
それとも、まだ書類関係が残っている?

ううん…そういうのがあれば、マティアス様が必ず休む前に声をかけているはず。
じゃあ、一体なんだろう。

沈黙がルネを飽きさせたのか、つまらなそうな声で尋ねられる。

「ね、分かった?」

「…うぅ〜」

「ダメだなぁ、は」

「どうせダメですよー…降参!

「えぇ?もう降参?ちょっと早くない?」

「だって、ルネ退屈してるじゃない」

「退屈じゃないよ。考え事をしているの顔を見ているから」

「…っ!」

「そういう顔も可愛いね」

にっこり笑顔で言われても、あたしなんかよりもルネの方が何倍も可愛い…と思う。
でもそれをいうのは女としてどうかと思うので、話を元に戻すべくもう一度降参を告げる。

「一応聞くけど、スケジュールとか書類関係も違うよね?」

「うん。違うよ」

「……降参」

「じゃあ、教えてあげる…」

「うん」

答えを聞こうと待っていると、ルネがにこにこ笑顔で顔を近づけてきた。
あまりに普段と変わらない様子に動くことも忘れて、その笑顔を見ていたら…そのままちゅっと音を立てて唇が触れて、離れた。

「正解は…おやすみの、キス」

「……」

「眠っているにキスしても良かったんだけど、やっぱり起きているキミにしたいって思ったんだ」

「…」

「…ね?とっても、大切なことでしょう」

にっこり目を細めて見つめられ、あたしはただただ頷くことしか出来ない。

「ね〜え、

「な……な、に?」

「今度は、キミからキスして」

「…え?」

「今のは、ボクからキミへのおやすみのキス…だから次は、からボクに…おやすみの挨拶が欲しいな」

両肘をついて、そこへ顔を乗せて小首を傾げながら可愛らしくおねだりするような仕草は…反則だと思う。
それなのにその瞳は、NOを許さないとでもいうように強い力を秘めている。

「くれるよ、ね?」

「もぉ…ルネの、わがまま…」

「キミだから、だよ…」

でも、そんな風に求められるのは…嫌いじゃない。
だって自分がここにいていいと…愛されているのだと、わかるから。

だからあたしは、さっきルネがしてくれたように、ゆっくり顔を近づけてからそっと目を閉じた。

「…おやすみなさい、ルネ」

「うん…おやすみ、

キスをして離れようとすると…再びルネから、キスをされる。
そうしたら、またそのお礼を求められて…また、あたしからキスをする。

月が恥ずかしがって雲間に隠れてしまうくらい、あたし達は何度も何度もキスをして…
どちらが先かは分からないけれど、気づいた時には二人仲良く…眠りの淵に落ちていた。






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はい!ギリギリ間に合いました!(笑)
ありがとう!ネオロマンスライブ2008…の、勝平ちゃん!
勝平ちゃんの「ね〜え?」が凄く可愛くて好きですよー!(笑)
っていうか、私ネオアンやったことないんですよね。
でもってアニメは全部見たんだけど…ルネって小さいかと思ったら165cmもあるのね(苦笑)
アニメのルネの印象が強くて、どうしても可愛いとか思っちゃうんですが…実際は違うんでしょうね。
多少捏造でしょうが、勝平ちゃんのルネの声が…イタズラっぽく可愛らしく聞こえれば大成功!
私的には甘いキスのお話になったので、大満足でございます♪
うん、私の基本ってこんなよねって改めて思いました。